No.251


【雑学】大気中の酸素の量

低気圧が来ると呼吸が苦しいんや…

 ヘビー級の体重の自分、台風や低気圧が来ると一気に呼吸が苦しくなる。
 酸素消費量が増えているところに、大気中の酸素の量が少なくなるので、干上がった池の鯉状態になっているのだと想像している。

 感覚では分かっているけど、理屈で考えたことなかったのでメモ。


概要

 大気中の酸素濃度に影響を及ぼす要素としては下記がある。

要素 影響の度合い
気圧
気温
湿度 極小

 この中では気圧が最も影響が大きくダイレクトに出る。
 次点は気温、ほとんど影響を及ぼさないのが湿度だ。(超高温下では別だけど)

 酸素の量が増えるのは

  • 気圧が上がる
  • 気温が下がる
  • 湿度が下がる

 酸素の量が減るのは

  • 気圧が下がる
  • 気温が上がる
  • 湿度が上がる

 と憶えておこう。


気圧

 ざっくり言うと、気圧は「ある大きさの空間にかかる重さ」なので、気圧が高くなればなるほど「ある大きさの空間」内の物質の量は増えていく。
 つまり酸素も増える。

 気圧は線形に影響を与えるので計算も楽。
 例えば、晴れのとき1020hPaだったのが台風で980hPaまで下がると

980 / 1020 ≒ 0.96

 で、酸素の量は約4%減っていることになる。
 これが低気圧が来ると息苦しくなる原因だ。

 ちなみにエベレスト山頂だとどうなるかというと、ざっくり300hPaと仮定して

300 / 1020 ≒ 0.294

 なんと、酸素の量が平地に比べて約70%も少なくなっている事がわかる。
 こりゃ死ぬわ。


気温

 同一圧力下だと気体の体積は絶対温度に比例する。温度が高くなる方が体積は大きくなるわけだ。
 つまり、「ある大きさの空間内の酸素の量」も絶対温度に比例して線形に変化する。

 例えば摂氏0℃と摂氏30℃を比較してみると

セ氏 絶対温度
0℃ 273.15K
30℃ 303.15K

 となるので

303.15 / 273.15 ≒ 0.90

 気温が30℃だと0℃の時に比べて約10%減っていることになる。
 これが夏になると息苦しくなる原因か。


湿度

 湿度で誤解されがちなのが湿度の単位。天気予報で使われている湿度は相対湿度だ。
 相対湿度とは「ある気温における飽和水蒸気圧に対する実際の空気の水蒸気圧の比」であり、簡単に言うと100%になると飽和して液体の水になる。

 30℃の飽和水蒸気圧はわずか42.44hPaしかない。

HeatTech 飽和水蒸気圧

 大気圧を1020hPaとすると、湿度が0%から100%まで変わった場合でも

42.44 / 1020 ≒ 0.04

 おおよそ4%しか変わっていないことになる。
 日本は冬でも平均湿度は50%、夏だと80%くらい。酸素濃度に対する影響は大きくても1~2%程度と考えていいだろう。

 この程度の数値だと極端な影響は出ないはず。つまり湿度が高くなると息苦しくなる理由は酸素濃度ではなく別の理由が大きいと思われるのだが、いまいち理屈が確立されていない。肺の中の湿度は100%になるので、肺の内と外の湿度差がなにか影響を及ぼしているのだろうか。